仕訳の仕方も人それぞれ。

昨日BS11で放送された「小澤征爾 若き才能とつむぐ四重奏(カルテット)」という番組を観ました。

指揮者、小澤征爾さんが10年前から開校したスイス国際音楽アカデミーで受講する若い才能ある音楽家24人が6組に分かれ、講師から弦楽四重奏の演奏方法を学び、最後は全員で小澤さんの指揮でグリーグ作曲のホルベルグ組曲を合奏する、というものでした。
小澤さんは音楽家にとっては四重奏の演奏がとても大切と言っていました。
オーケストラにあるような派手な演出的な効果がない弦楽四重奏では、ソリストのように自己主張ばかりは出来ず協調性が必要となるため、奏法にしても解釈にしても音楽の基本が四重奏だと考えているそうです。

税理士・会計士・経理、これら会計に関する人たちの基本は簿記であり、仕訳を使って取引を記録しています。
この仕訳というもの、単純そうで誰がやっても同じようですが意外と個性がでるなと思っています。

私は日商簿記検定2級に合格した後一般企業の経理として8年勤務しました。
その後いろいろあって税理士事務所に勤務することになったのですが、そこで初めて他人の仕訳を見ました。
例えば、「預金から家賃5万円を支払った。振込料は108円かかった。」という取引があった場合の仕訳についてはいろいろ考えられます。

パターン (借方) (貸方) 摘要
地代家賃 50,000 普通預金 50,108 家賃 学習上、一般的な仕訳
支払手数料 108 振込料
地代家賃 50,000 ①の変形
支払手数料 108 振込料 1行につき1科目とした仕訳
普通預金 50,108 家賃
地代家賃 50,000 普通預金 50,000 1対1の仕訳
支払手数料 108 普通預金 108 振込料
地代家賃 50,108 普通預金 50,108 ③の変形
支払手数料 108 地代家賃 108 科目振替 全額地代家賃とした後
振込料を支払手数料に振替
現金 50,108 普通預金 50,108 家賃支払用引出し ③の変形
地代家賃 50,000 現金 50,000 現金勘定で管理する方法
支払手数料 108 現金 108 振込料

どれも間違いではありません。記録や会計ソフトへの入力の仕方が違うだけです。
私は②か③の方法で仕訳をしています。
預金の場合は通帳の記載に合わせます。50,108円と記載されていれば②、50,000円と108円に分かれていれば③です。

②のように相手勘定を空白で入力する時には摘要にいろいろ書いてます。

(借方) (貸方) 摘要
地代家賃 50,000 家主名、○月分 △銀行より
支払手数料 108 振込料 家賃
普通預金 50,108 家賃 ○月分

入力の手間は増えますが総勘定元帳で見たときに分かりやすいため、②のやり方でやってます。
これは一般企業の経理として勤務していた時の経験によるものです。
その会社の年商は6億~7億円くらいでしたが、1カ月の仕訳数はかなり多かったです。
期中であったり、決算時であったり取引について調べたいときに、仕訳の計上の仕方や摘要への入力の仕方で作業効率が変わることを実感しました。
でも税理士事務所で勤務していたときはどの程度入力すればよいのか良く分かりませんでした。自分がお客様の会社の従業員ではないからです。

仕訳の入力を税理士事務所に依頼されている方は1度総勘定元帳を見てはいかがでしょうか。摘要に何が記載されているかを見るだけでも入力した人の個性を感じることが出来るかもしれません。