以前、個人事業主の方から「引越ししたんだけど経費になる?」と聞かれました。
もう少し詳しく尋ねてみると、
・自宅(賃貸)と仕事場を兼ねている
・青色申告である
・記帳はしていないが利益は出ていると思う
という事でした。
「今回の契約時の礼金や仲介手数料、前の契約のときに払った敷金から引かれる修繕費、運送業者へ支払った引っ越し代金、これらのうち一部は経費になります。
経費になるのは自宅のうち仕事場(事業所)として利用している部分です。」
と回答しました。
具体的な支払明細などが分からないときには‘一般的な場合ですが’としてお答えするしかありません。
ご相談者は「全額経費にならないかなぁ」という気持ちのようでした。
所得税において必要経費と認められるのは‘事業の遂行上必要な費用’と決められているため仕事用と生活用をきちんと区別する必要があります。
自宅兼事業所の場合、区別しにくい支出はいろいろあります。
例としては、家賃・駐車場代・水道光熱費・固定資産税・自動車税・応接セットなど。
その場合は基準を設けておくことが必要です。
仕事用として使っている場所の面積であったり、使用頻度(ひと月に何日くらい使っているか)であったり、支出の内容に応じて基準はいろいろですが、経費とした根拠をはっきりさせておくことが大事です。
ご相談者の方の場合、結局、引っ越し費用は経費にせず申告をしたとの事でした。
理由を聞いてみると、面倒だったから、でした。
新居の片付け、引っ越しに伴う役所や金融機関の手続、自分の仕事・・・いろいろとやることが多いから少しくらいいいや、ということだったようです。
利益がたくさん出ていれば経費になるものはないかといろいろ探しますが、それ程でもないときは面倒なことはやめようと思う気持ち、わかります。