保険が満期になったので別の保険に入りました(所得税)

今年の所得税の確定申告もそろそろ折り返しを迎えました。
所得税の確定申告の時、確認のためにお聞きする内容の一つが保険金の受け取りがあったかどうかです。
「保険が満期になったので、その保険金で別の保険に入りました。申告書には載せてません。」
という話がありました。
これについては、「そうですか」とすんなり聞き流すわけにはいきません。

Step1.所得税の対象になるか
この方は、新しい保険に入ったことで手元にお金が残らなかったから申告する必要はない、と考えていたようです。でも、先ほどの内容は
(1)満期保険金(正確には満期返戻金)を一度に受け取った
(2)受け取った保険金で新しい保険を契約した
の2つの行為に分けて考えないといけません。

(1)は一時所得に該当します。(2)は保険契約にあたり資金をどこから出したかという事であり、この時点では税金計算には直接関係ありません。

Step2.所得はいくらになるか
一時所得は次の算式で計算します。
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
収入を得るために支出した金額とは・・・その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る、という注釈がついてます。
上記の場合、「収入を生じた」が満期返戻金に該当するので
満期返戻金受取額-契約期間に支払った掛金総額-特別控除額
となります。
特別控除額は最高50万円ですが、昨今は金利が低いため一つの契約で50万円を超えるくらい高収益の保険契約はなかなか見かけません。

Step3.申告するか
最後に申告が必要かどうか考えます。
収入が公的年金だけで、その公的年金の収入金額が400万円以下であり、源泉徴収がきちんとされている人は、Step2で計算した一時所得が20万円以下であれば確定申告の必要がありません。
ですが、収入が公的年金だけ(400万円以下)であって、源泉徴収されていたとしても、医療費控除や生命保険料控除などを使って所得税の還付をしてもらおうとする場合は、一時所得が20万円以下であっても申告が必要になります。

「申告が必要かどうか」はいろいろなことを含めて考えないといけません。
申告しなかったとしても1回で100万円を超える生命保険契約の一時金や損害保険契約の満期返戻金を受け取ったら、保険会社から税務署へ報告されています。

お話を聞くとき、他愛もないことであったり日々の生活のことであったり相手の方にあわせて聞いているのですが、税に関して気になることを聞いてしまうこともあります。
その方の認識が間違っていれば正しい事を説明しますが、表情が曇ってくることもあったりするとこちらも何とも言えない感じになってしまいます。