前回、株主優待券の事を書いたのでそれに関連して法定調書についてふれたいと思います。
税務署には様々な情報が入るようになっています。その一つが法定調書です。
法定調書とは、所得税法や相続税法などにより支払者から税務署に提出する事が義務付けられている資料です。現在61種類あります。多いです。
支払調書は「法定調書の具体的なもの」と思ってもらえばいいかと思います。
株式に関するものもいろいろあります。代表的なものとしては
配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
株式等の譲渡の対価等の支払調書
特定口座年間取引報告書 があります
見る機会がないものもあると思いますので少しご紹介します。
Ⅰ 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
これは、法人等が株主や出資者に配当金等を支払った場合に「いつ、誰に、いくら支払ったか」を記載した書類です。
受取る側からすると、非上場会社については年間10万円超の配当金を受取った場合が該当します。上場会社の配当金については金額に関係なく提出対象になります。ただし上場株式の場合、特定口座で配当金を受取る場合(受取方法としては郵便局で現金受取りや銀行口座に振込入金など)は後述の特定口座年間取引報告書で提出されることになります。
Ⅱ 株式等の譲渡の対価等の支払調書
証券会社等が投資家からの注文により株式や投資信託等の売却したときに「いつ、誰に、いくら支払ったか」を記載した書類です。
今までは1回の売却対価が30万円以下の場合は提出が不要でしたが、今年(2016年)からは全額提出することになりました。特定口座内で売却取引をした場合はこの書類ではなく後述の特定口座年間取引報告書で提出することになります。
Ⅲ 特定口座年間取引報告書
源泉徴収を選択している特定口座で上場株式の売却や配当金の受取りをしている場合は、支払調書ではなく特定口座年間取引報告書が税務署に提出されます。
なお今年からは、特定口座で管理することにした公社債や公社債投信の利子や分配金、特定口座以内での公社債や公社債投信の売却による譲渡所得等も特定口座年間取引報告書に記載されて税務署に提出されることとなります。
証券会社から株主へ送付されてくる報告書とほぼ同じですが、証券会社が税務署に提出する報告書には株式の売却の取引明細や配当金の受取明細が記載されています。(図の青線で囲った部分)
どの書類も今年からはマイナンバー記載欄があります。(図の赤線で囲った部分)
これは金融機関がマイナンバーの管理を義務付けられたからです。(以前書きました)
義務付けられたのは金融機関であって現在のところ個人は任意です。
全員のマイナンバーを集めるのは困難なことが想定できるため、税務署はマイナンバーの記載のない書類も受付けることとしています。(特定個人情報の適切な取扱に関するガイドラインより)
義務付けられた金融機関はどうするかというと、マイナンバーの提供を求めたけど受けられなかった経緯を記録・保存することになります。
証券会社にマイナンバーを提供するのが嫌だなぁと思ったとしても、年間の株取引が赤字となり3年間の繰越控除を受けようと確定申告をする場合は、来年からは確定申告書にマイナンバーを記載することになります。
あと一月位で3月決算の会社の株主総会があり、配当金を受取る人も多いと思います。
証券会社がいつ頃から本格的にマイナンバーの提供を求めるのかわかりませんが、遅いか早いかの違いだけでいずれは提供することになるのかなぁという感じです。