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 三世帯同居が広がるでしょうか   その3

三世代同居改修工事の税制改正ですが、この制度の目的は「子育てにやさしい社会を作る」ということになっていますがそれだけだろうかと思っています。

H26年度住宅経済関連データによると、人口減少により2020年以降世帯総数が減少するそうです。世代別では、2010年を100%として2025年には子育て世帯が80%となるのに対し高齢者世帯は126%になると推計されています。

以前2035年問題について触れましたが、同データでは、今後亡くなる方の増加により看取りの場所が不足することも紹介しています。
高齢者ご夫婦の世帯はいずれ単身世帯になります。

高齢者の意識調査によると、身体機能が低下した場合の住まいについて自宅(現在のまま、改築の合計)を望む方が2010年において66%となっています。
病院に入院したい人は減少しているので恐らくこの傾向は増えていくでしょう。

自宅で暮らすとなると改修が必要となる場合があります。
リフォームに占める増改築の割合は15%程度ですが、その内高齢者に配慮した設備のリフォームは10%程度となっています。
高齢者のためのバリアフリーなどの改修工事の補助は自治体でも行っていますし、所得税でも減税制度があるのですがリフォーム全体からみると高齢者のための改修工事というのは少ないんだなと感じます。

今回の三世代同居改修工事の税制制度は「子育て支援・少子化対策」から設けられたものですが、多世代が共に生活することで安心して子育てが出来るだけでなく、高齢者の生活不安を軽減させることや高齢者の自宅での療養や介護を目指したいのだろうと感じます。
家族単位が小さくなりすぎたのを見直したいのかもしれません。

さらには、空き家を増やしたくないという事もあるように感じます。
空き家が生じる一番の原因が相続によるものだからです。
今後持家所有率の高い高齢者の死亡が多くなりますから、持家については考えないといけない人が多くなると思います。
相続という点では持家の場合、親世帯と同居することは子世代にとってみれば土地の評価を下げるという点で節税対策となります。

今回1つの税制からいろいろなことを考えました。
いろいろな問題が絡まっているのが良く分かります。

参考 平成26年度住宅経済関連データ(国土交通省)

 三世代同居が広がるでしょうか   その2

先日、三世代同居改修工事の税制改正について紹介しました。
子育てにやさしい社会を作るという方針の一環みたいです。
この制度、どの位利用されることとなるでしょうか。

まず、マンションには使いにくいでしょう。
対象となるリフォームの4か所のうち、玄関増設というのは敷地面積との関係になりますが、都道府県庁所在地などの都市部での宅地面積ではどうなのでしょうか。難しそうに感じます。
H20年の住宅・土地統計調査やH26年度住宅経済関連データでみると、住宅のうち持家比率は約60%、その内戸建て住宅は約55%です。
リフォームの状況はというと、リフォームの内訳としては内装等の模様替えが80%超で増改築は15%程度です。模様替えが多いのは賃貸物件も含んでいるからでしょう。

今回の制度、借入金であっても自己資金であっても対象となるリフォーム部分に対する控除額は最高で25万円です。従来からあるバリアフリー改修や省エネ改修に対する控除額と同じです。

子育て支援・少子化対策を目的に設けられたようですが、本当に同居を促したいのであれば、リフォーム部分は1か所でもよいとか控除額を増やすなどしてもよいのではないかと思いました。

次に親世代の方からこの制度について考えてみます。
持家比率約60%のうち65歳以上の高齢者のいる持家は82%超で、そのうち夫婦ともに高齢者の持家は87%です。
「子と同居(二世帯住宅を含む)したい」と思う割合は年々減少傾向にあり(H25年速報で13%)、その代わりに徒歩5分、片道15分や1時間未満など「近居」を望む割合が増えています(同速報値で22%)。
今回の税制改正に関する内閣府の参考資料の中に「子育て世代の30~40歳代の約20%が三世代同居を理想の住まいと考えている。」とありました。
親世代よりも子世代の方が同居を良しと思っているという事でしょうか。
テレビで「子どもに迷惑を掛けたくない」と言っている年配の方の声を聴くと、本当にそうなのだろうか、過度の遠慮ではないのだろうかと思います。

これからは高齢者の単身世帯がますます増加します。
世帯の形態が核家族となり、住宅地では敷地面積があまり確保できない現状では難しいですが、同一敷地内の離れもしくは別棟に親世帯と子世帯が分かれて生活していた一昔前の生活というのは、それぞれの世帯にとって良かったのかもしれないなと感じます。

もう少しこの制度について考えてみたいと思います。

参考
平成26年度住宅経済関連データ(国土交通省)
平成28年度税制改正要望結果・参考資料集(内閣府)
平成20年住宅・土地統計調査(総務省統計局)

 三世帯同居が広がるでしょうか   その1

平成28年度の税制改正では、三世帯同居に対応した住宅リフォームに関し、借入金や自己資金でリフォームを行った場合に税額控除制度が導入されることとなりました。
借入した場合でも自己資金の場合でもどちらにも使える点が特徴です。
適用できるのは工事をして平成28年4月1日から31年6月30日までの間に居住した場合です。

①借入金による工事の場合

a) 対象となるリフォームは キッチン・浴室・トイレ・玄関 のいずれか2つ以上が複数になる工事で、費用が50万円を超えるものです。(補助金がある場合は、補助金を引いた後 の金額となります。)
b) 控除額は、5年以上返済期間がある住宅借入金の年末残高1,000万円以下のうち、リフォーム部分×2%(5万円限度)+その他部分×1%の合計です。最大12万5千円になります。
c) 控除期間は5年間ですが、従来の住宅ローンで増改築した場合の特別控除との選択適用となります。

②自己資金による工事の場合

a) 対象となるリフォームは①と同じです。
b) 控除額は、標準的な工事費用相当額×10%(25万円限度)です。
「標準的な工事費用相当額」とは改修部位ごとに工事費用が決められているみたいで、  決められた金額×工事をした場所の数 で計算します。
c) 控除出来るのは工事を行った年です。ただし、一度控除を利用すると3年間は受けられません。また、住宅ローンで家を新築・購入・増改築等した場合の所得税の特別控除とは同時に受けることは出来ません。

 

細かい要件はいろいろあるので、注意する必要があるでしょう。

次回、この制度について考えてみます。

 植物って、小さくても大きな存在です。

先月、我が家に観葉植物が増えました。
以前からデンドロビュームが一鉢あったのですが、それだけではちょっと寂しくて。
花屋をちょこちょこ覗いていたのですが、冬の時期だったせいかどこも似たようなグリーンインテリアでした。
大きな鉢の方が部屋の雰囲気を変えられるので置けるのなら置きたいところですが、移動や管理の事を考えるとちょっと難しいかな。
春か夏ごろまで待とうかなぁと思っていましたが、とってもかわいらしいのに出会いました!

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いかがですか?
ウコギ科のカポック・シェフレラ・チュピタンサス・ブラッサイア・アラレアだそうです。
ウコギ科? カポック? シェフレラ?・・・?
どれも初めての言葉でしたが、調べてみたら
「観葉植物の中でもトップクラスに丈夫で枯れにくいため、初心者の方にも入門種として最適です。」
とありました。
まずは一安心です。

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私、昔は斑入りの植物ってちょっと苦手だったんですが、見慣れてきたせいか大丈夫になってきました。

最近では、緑だけでなく緑の濃淡だったり白っぽいところがあるから斑入りの方がいいなぁって思えるようになりました。

 

このシェフレラ、「ハッピーイエロー」という品種だそうです。
大切にするので、末永く傍にいてほしいです。

 年金受給者の方、扶養控除等申告書は提出しましょう。

所得税の確定申告が始まりました。
先週、年金所得者を対象とした申告説明会に参加しました。
説明会とはなっていますが、申告です。
比較的高齢で所得税が還付になる方が中心です。申告期間は相談会場に来られる方が大変多いため早めに申告を済ませてあげようという税務署側の配慮でしょうか。

その時お会いしたある方の例です。
申告内容は複数の年金と、生命保険料控除と医療費控除くらいです。
ご本人は年金から徴収された所得税が還付されるものと思っておられました。
実際は・・・納税になってしまいました。
理由は、奥さんが亡くなられたことを日本年金機構に連絡していなかったため、年金から徴収される所得税がかなり少なかったからでした。
その方には説明してご理解いただきましたが、予想外の結果となり・・・私としてもどうしようもない事なので・・・何とも言いようがありません。

この方のような事がないように、公的年金をもらわれている方で所得税の対象となる方は、毎年ご家族の状況を通知する「公的年金等の受給者の扶養控除等申告書」を提出していただきたいです。

説明しているときに感じたのですが、日本年金機構からの書類が「ややこしい」んだろうなぁという事です。
マイナンバーが浸透し、制度がしっかり機能するようになれば少しは負担が減るようになるのかもしれないですね。

 地域社会との関わり、大切にしなければ。

昨日、あるNPO法人の勉強会に参加しました。

その法人は高齢者の方が
  入院や施設入所の際に保証人になってくれる人がいない
  緊急時に対応してくれる人が近くにいない
  死亡直後に対応してくれる人が近くにいない
  ご先祖様の供養や墓はどうなるだろう
などと不安になるのは社会的孤立によるものではないかと考え、安心して充実した暮らしが出来るように専門職と協働して支援する活動をしています。

その勉強会で初めて知ったのが、2015年・2025年・2035年問題でした。
いずれも団塊の世代が絡む問題ですが
  2015年問題は65歳(前期高齢者)となる
  2025年問題は75歳(後期高齢者)となり要介護者が増大する
  2035年問題は大勢の方が亡くなる、75歳以上の単独世帯が4割以上となる
そうです。

世界でも類を見ないほどの高齢化社会と言われて幾久しいですが、10年20年後というのは本当にすぐだと思います。
ロボット技術などの活用も急がれるところですが、人と人の関わりというのは無くすわけにはいきません。
別のセミナーでは(参加者50人くらいの小さなセミナーでしたが)お会いした女性の中に、デイサービスのような高齢者支援をしたい、という人が2人いました。
自分の事、自分の家族の事を考えるのは当然ですが、近所・町内・学区など地域の事も考え、積極的に関わっていかないといけないのだなと改めて思いました。同時にそのように思っている人も沢山いるのではないかと思いました。

でも、何から始めればいいのかまだ分かりません。
今まで関わってこなかったので。

 所得税確定申告書の作成。慣れてほしいのですが年1回の事なので。 

今日は税理士会の税務相談事業として、ある金融機関が主催する「確定申告書作成セミナー」に出席し、所得税の確定申告書の作成を指導させていただきました。

今日参加されたのは金融機関の顧客の方で、年金をもらわれている方や平成27年中に退職された方です。

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昨年退職された方で社会保険料控除、生命保険料控除や医療費控除などの所得控除のある方は確定申告をすることで給与や退職金から差引かれた源泉所得税を還付してもらう事になります。

サラリーマンであれば、医療費が特別多かったり、銀行からお金を借りてマイホームを建てた年以外はなかなか確定申告をすることはありませんよね。
勤務先が年末調整で1年間の所得税を精算してくれます。

今日参加された方には申告書用紙に手書きで記入していただきました。
初めての方にとっては多少緊張感があったり、苦痛だったかもしれません。
それでも慣れるには、実際に申告書を書いてみるのがいいと思います。

 

2,3回申告書を作成すれば慣れると思うのですが所得税の確定申告は年1回なので・・・。
来年、思い出してくれればいいのですが・・・。

 

来年確定申告をする場合には、今日よりも抵抗感が和らいでいて欲しいと願います。

 マイナンバー、金融機関も集め始めています。

先日、とある証券会社の資料に「マイナンバー制度」が始まった事に関するものがありました。

マイナンバー資料2

マイナンバーについては、好むと好まざるとにかかわらず、スタートしました。
マイナンバー制度の経緯について簡単にまとめてみました。

当初の趣旨・目的としては
「マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される。」
「マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤である。」  でした。

その後法改正により
「預金保険機構を、マイナンバー法による個人番号利用事務実施者として位置づけ、マイナンバーの利用を可能とする。」
という事により、金融機関もマイナンバーを取扱うこととなりました。

その目的は、生活保護の不正受給の防止や税務調査をより行いやすくするためです。

マイナンバー法の改正により国税通則法も改正され、「銀行等は照会に効率的に対応することが出来るよう預金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理する義務を課す」となりました。
義務を課されたのであれば銀行等は対応するしかありません。
そのため「預金者は、銀行等からマイナンバーの告知を求められる」ことになります。

マイナンバー資料1

でも、預金者から銀行等へのマイナンバーの告知は法律上義務にはなっていません。任意です。
だから今はまだ提供しなくていいはずです。
いくら制度の趣旨などに納得したとしても、自分の預金情報・資産情報が知られてしまうというのは気持ちが良くありません。
マイナンバー法の改正では「付番開始後3年をめどに必要があると認めるときは付番促進のための所要の措置を講じる」となってます。
いずれは義務になるかもしれませんが、しばらくは求められても様子を見るつもりです。

 ふるさと納税から住民税について考えてみました。

昨年ふるさと納税をした方は多かったそうです。(岡山県は上期だけで16倍だったとか)
地域の特産品がもらえる、というのは随分魅力だったんですね。

以前、ふるさと納税の「ワンストップ特例」について少しふれました。
平成27年4月1日以降に全国の市区町村に寄附をし、ワンストップ特例を申請した場合には、確定申告をしなくても所得税分も含めて住民税が減額される、というものです。

対象となるのは確定申告をする必要がない方なので
サラリーマンの場合・・・勤め先で年末調整を受け、昨年あまり病気やけがにならなかった
年金をもらっている人の場合・・・公的年金等の収入合計が400万円以下で昨年あまり病気やけがにならなかった
という方でしょうか。

どちらの場合も所得が20万円を超えるような副業のある方、市区町村以外に寄附をした方、3月31日までにふるさと納税をした方、は対象となりません。

サラリーマンにとっては、わざわざ確定申告をする必要がないので便利だと思います。

「住民税が減額される」という事ですが、サラリーマンで住民税を意識している方というのはどのくらいいるのでしょうか。
私がサラリーマンだった時、特に税法を勉強する前、住民税といえば
  6月頃に給与明細とは別に、金額の書いてある横長の紙(今は違う場合があります)をもらう。
  給与から差し引かれる
  住民税は前年の所得で決まる
  退職した後住民税の負担はちょっときつい
といった認識でした。計算方法もわからず、金額だけをみて「今年は給料からこれだけ引かれるんだ」と思ってました。
サラリーマンの多くの方が同じような感覚ではないでしょうか。

ふるさと納税については、「ワンストップ特例」を利用すれば、市区町村が住民税を計算してくれるので楽です。
その反面、所得税や住民税がどのくらい減額されたか実感することが出来ません。
(算出過程は表示されているはずなので、計算の仕組みが解っている人はいくら減額されたか確認できるはずです。)

それでもいいのかなぁ・・・

そもそも住民税は市区町村が計算するわけだから、気にする必要はないのかなぁ・・・

そんな事をふと考えてしまいました。

 厚生年金未加入の問題。

「厚生年金未加入者200万人」の件がニュースになっています。

 

実は私、同じ問題に直面したことがあります。

もう20年近く前の話です。
実務経験のない私を経理として採用してくれた会社です。

私が入社後1月で前任者が退職してしまったため毎日仕事を覚えるのが必死でした。
「会社の経理が退職する」と聞いた時点で察すればよかったのでしょうが素人の私は全然気づかず、むしろ「未経験なのに働かせてくれる」という感覚でした。
しばらくすると会社の状況がなんとなく解ります。資金繰りが厳しい会社でした。

1年半くらい経った頃、資金面で会社を応援してくれていた仕入先会社の公認会計士から「国民健康保険、国民年金に移ってもらえないか」という話がありました。

最初はなぜそのような話をするのか意味が解らなかったです。
その時は「そのような話なら、辞めさせてもらいます」と言い断りました。

年金の仕組みについて理解したうえでの返事ではなかったと思います。たぶん何となく「受け入れてはいけない」という感覚的なものだったと思います。

結局その会社は従業員を社会保険から脱退させませんでした。
資金繰りは厳しいままでした。

 

 

わざと社会保険に加入していない事務所は少ないと信じたいですが、この件は本当に厄介です。それでもかつて似たような問題に直面した者としては、経営者の人には雇用するなら従業員の将来も雇用してもらいたいです。
今はそう思っています。